朝のニュースを開くと、消費税や年金を巡る重大な論争ではなく、有名俳優の不倫疑惑がメインで報じられています。
その様子に、少し違和感を抱いたこともあるでしょう。
政治の厄介な問題を隠すために、意図的に目を引く芸能スキャンダルをメディアに流し込み、国民の関心を逸らす手法は、もはや定番になりつつあります。
政治の根幹である法案審議や政策検討が始まる直前に、狙ったように大きなゴシップが炸裂します。
メディアはセンセーショナルな話題に飛びつき、ワイドショーは連日そのネタ一色になり、本来対峙すべき政治問題はどこかに追いやられてしまいます。
【具体的な“逸らし”の事例】
1. 2020年:検察庁法改正案と国民的俳優の不倫スキャンダル
2020年5月、検察官の定年延長を可能にする検察庁法改正案が国会で激論を呼ぶ中、同時期に某国民的俳優の不倫疑惑が大々的に報じられました。
ワイドショーは恋愛ドラマさながらの週刊誌ネタを連日放映し、多くの人が法案の行方に目を向け損ねたまま、改正の動きは静かに進んでいきました。
2. 2019年:裏で囁かれる“仕込み”スキャンダル
女優・E.S.容疑者の合成麻薬所持による逮捕は、そのタイミングの良さから「権力側の指示ではないか」との陰謀論を生み出しました。
元首相経験者も「国民の目を逸らすための逮捕だったかもしれない」と公言するほど、その逮捕報道は社会保障改変や政治腐敗追及のニュースを一掃する騒ぎに発展しました。
3. 2012年:消費税増税とアイドルグループ解散報道
2012年の消費税率引き上げ論議のさなか、人気アイドルグループの突然の解散発表が大スクープとなりました。政府・与党が求めていた財政再建策の論点は、ファンと週刊誌の愛憎劇に飲み込まれ、増税決定はほとんど“無言”で通ってしまいました。
【目くらましから脱する視点】
政治家や官庁の発表、メディアの報道タイミングに敏感になり、「今、本当に語るべき争点は何か?」を自ら問い直すことが重要です。
派手なゴシップに心を奪われず、法案の内容や議論の背景を追うことが求められます。
SNSやニュースアプリを変更し、複数のメディアで同じテーマを確認する習慣が、目くらましを見抜く第一歩となるでしょう。