サフランモドキ(ゼフィランサス)

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サフランモドキ(ゼフィランサス)

夏の庭に小さな贈り物を運んでくるサフランモドキ。
正式にはヒガンバナ科ゼフィランサス属に属する球根植物で、江戸時代末期に日本に持ち込まれて以来、公園や庭でその優雅な花姿と育てやすさから愛されています。
「モドキ」という名は、花色や形がサフラン(Crocus sativus)に似ていることから付けられましたが、植物学的にはまったく異なる系統に属しています。

花茎は高さ10〜30cmほどに成長し、先端にラッパのような一輪が直立し、花色は鮮やかなピンクや純白、オレンジ、淡い黄、さらには紫に近い白と多彩で、夏から秋にかけて次々に開花する様子はまるで小さな祭りのようです。
花は上向きに咲き、雨が上がった後に一斉に開花することから「レインリリー(Rain lily)」という別名も持っています。

真夏の強い日差しの中でもへこたれず、雨に応じて一斉に花開く勇敢さも魅力の一つで、庭の隅に植えるだけで、梅雨明けの蒸し暑さに涼やかなアクセントを加えてくれます。
毎年6月から10月にかけて長く花を楽しむことができるため、夏の庭仕事に励む力にもなります。

代表的な品種には、鮮やかなピンクのゼフィランサス・カリナータ、清楚な白のゼフィランサス・キャンディダ、鮮やかな黄色のゼフィランサス・シトリナなどがあり、いずれも小ぶりの球根で、鉢植えやコンテナ、花壇の縁取りに適しています。
群植すると色合いのグラデーションが美しく、歩くたびに楽しさが増すでしょう。

育て方もシンプルで、排水の良い土に球根を植え、日当たりか半日陰を選んで管理すれば、ほとんど手間がかかりません。
真夏の照りつける乾燥地でも耐え忍ぶほどの耐暑性・耐寒性に優れ、秋まで咲き続ける強さを持っていて、雨が上がった後にいく輪も花が咲く光景は、まるで自然からの小さな贈り物のようです。

小さな球根から咲く華やかな花は、庭やベランダを手軽に彩りたい方にぴったりです。雨を待ちわびる日々も、雨が降った瞬間に広がるサフランモドキの群舞を想像すれば、庭仕事の苦労さえ愛おしく感じられることでしょう。
ぜひ今年はこの可憐な「レインリリー」を仲間に加え、夏から秋への移り変わりを花とともに楽しんでみてください。

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