ドラムのシャッフルビートを探求してみる【2】

ドラム趣向
シャッフルビートの概要

シャッフルビートは、音楽の中で「揺れ」を生み出すリズムです。
4分音符や8分音符の均一な配列を崩し、三連符の感覚を基盤にするこのリズムは、ブルース、ロック、ソウル、ファンク、ジャズなどさまざまなジャンルの楽曲に心に残る温もりと推進力を提供します。
機械的なビートとは異なり、シャッフルはプレイヤーの手の揺らぎを感じさせるため、演奏者と聴衆の間に強い共鳴が生まれます。

技術的には、シャッフルは「3連符の1拍目と2拍目を使って8分音符を分ける」ことで実現され、典型的な8ビートの1拍を三分割し、その中の1つ目と2つ目を連続的に扱う感覚が基本です。
ハイハットやライドでタタタと刻むのではなく、タンタ タンタンのように「長と短の対比」を作ることでユニークな波を生み出し、キックとスネアの配置は曲のジャンルや意図によって変わりますが、スネアの2拍目と4拍目を基準にしつつ、裏拍やフィルで揺らぎを強調するのがセオリーです。

サウンドの目的は「前に押し出すグルーヴ」と「ゆったりした背骨」の両立にあります。
テンポによってシャッフルは大きく表情を変え、ゆっくりならブルースの泥臭さや語りかけを強調し、中速から速めではロックやファンキーなエネルギーを生み出します。
ドラマーは余裕をもたせることで、音楽が生き生きとするため、完全な正確さよりも「感じ」を重視する場面が多いようです。

練習法は段階的に進めるのが効果的です。
まずはメトロノームで三連符の基礎を体に馴染ませ、4拍子を1小節と考え、各拍を三等分する感覚を大切にします。
次にハイハットやライドで基本的なシャッフルパターンを刻み、スネアのバックビートとキックのアクセントを重ねていき、フィルインはシャッフルらしさをこわさない範囲内で遊びを加えることが重要です。
さらに、練習の際に録音し、自分の「間」を客観的に確認すると上達が早まります。

代表的な曲を聴くことも理解を深めるための近道です。
クラシックなブルースやスティーリー・ダン、スティーヴィー・ワンダー、TOTOなど、シャッフル感を巧みに使う楽曲は数多く、ドラマーの解釈によって微妙な揺らぎが異なります。
コピーから始めて、いつか自分自身のタイム感を交えれば、ユニークで説得力のあるシャッフルが生まれます。

最後に、シャッフルはただのリズムの型ではなく、音楽の息遣いです。
正確に刻む部分と遊ぶ部分を見極めることで、曲は生き物のように息をし始めます。
ドラマーがシャッフルの「間合い」を愛し、その揺らぎを恐れずに表現すれば、演奏はより深く、温かく、聴く人の心に届くでしょう。

 

シャッフルビートの名曲

Fool in the Rain」レッド・ツェッペリン
Fool in the Rain by Led Zeppelin

Led Zeppelinの「Fool in the Rain」は1979年に発表された楽曲で、アルバム『In Through the Out Door』に収められています。
この曲の成立には、バンドが触発されたサンバのリズムが影響を与え、ジョン・ボーナムのドラムプレイがその発想をロックの枠組みへと変換したものです。

ドラム全体はハーフタイム感(スネアの裏打ちを減少させ、拍感をリラックスさせる感覚)を維持しつつ、繊細な16分音符のリズムで流れ続ける構造になっています。
楽曲内で使われるそのようなシャッフルは「パレード・シャッフル」と称されるリズム感に類似しており、ボーナム特有の重心配分がリズムの骨組みを支えています。

バスドラムはハーフビートの重さを出しながらハイハットやライドの繊細な流れと対比を作り、スネアは意図的に「待たせる」位置に配置されるため、ビートの上で微妙な浮遊感と推進力が共存し、その結果、シャッフルの細かな「うねり」が前景のギターやキーボードと交差し続けます。
曲の中盤へ進むにつれて、ボーナムのリズムがサンバ的なニュアンスを取り入れ、ロック的な重みと南米リズムの軽快さが融合し、新たな推進力を生み出しています。

メロディは軽やかで歌ものの親しさを保ちながらも、リズム隊は複雑なポリリズムやシンコペーションを織り込み、曲は単なるポップ寄りのロックに留まらず、聴くたびに新しい発見があります。
ギターやキーボードの音色はリズミカルな脈動を与え、パーカッシブな要素と合わさってビートを強調し、ボーカルのフレージングはリズムの空間を活かした形で配置され、曲全体のダイナミクスはドラマーの「空白の使い方」によって形作られています。

このシンプルに見えるシャッフルの裏側にある技巧とフィールの融合が、プロのドラマーやリズム愛好者の耳を引きつけ続けます。
YouTubeなどで示される様々なリズムの解釈は、この曲がリズムの学び場としても機能している証です。
「Fool in the Rain」は一聴で心地よく、何度も聴くうちに演奏の工夫と音の選択が次々と現れる楽曲で、その二面性が、この曲をLed Zeppelinのレパートリーの中でも特別な存在にしています。

 
Fool in the Rain:レッド・ツェッペリン
 

シャッフルビートlesson【2】

 

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