ベンチャーズの10番街の殺人

音楽事象

小学生の頃、エレキブームが広がり、クラスメイトたちがベンチャーズの曲について「やっぱり、ダイアモンド・ヘッドや!」とか「いや、パイプラインやで!」とか「10番街の殺人が一番やんけ!」などと熱く語っていましたが、流行に疎かった私はチンプンカンプンでした。ただ「10番街の殺人」というエキセントリックな曲名は強く印象に残りました。

その後、「10番街の殺人」が頭から離れず、ある日、近くのレコード店で思い切ってシングルレコードを購入しました。レコードを買ったのは生まれて初めての体験でしたが、東芝レコードの「liberty リバティ」レーベルで、価格は確か330円だったと思います。
ワクワクしながら家に帰り、ジャケットを改めて見ると、フェンダーのジャズマスターを持ったドン・ウィルソンとノーキー・エドワーズ、そして、ボブ・ボーグルがベースギターを持ち、グレッチのドラムを叩くメル・テイラーの4人が笑っている趣のある写真が印象的でした。

ワクワクしながらドーナツ盤のレコードに針を落とすと、緊迫感のあるディミニッシュコードのスライドダウンで始まり、パワフルでタイトなドラム、滑らかなベースのグリッサンドが続きました。そして、澄んだトーンとシャープなアタックのギターが登場し、曲の前半ではエレキブームの象徴的な「テケテケテケテケテケ」のクロマチックラン奏法が炸裂していました。ただし、この時は卓上レコードプレーヤーだったので、ベースのグリッサンドは全然聴こえませんでした。もし低音が響くステレオシステムで聴いていれば、もっと音楽熱が高まっていたかもしれません。

この曲についての感想は、やはり、ノーキー・エドワーズのリードギターが印象的で、シンプルでストレートなメロディーの中に繊細なニュアンスと力強い表現力があって素晴らしいと感じました。2025年の今聴いても魅力的なサウンドですが、当時はおそらく何百回もレコードをかけまくったと思います。

「10番街の殺人」(Slaughter On Tenth Avenue)は、もともと1936年のブロードウェイ・ミュージカル『オン・ユア・トウズ』の劇中劇として作曲され、ザ・ベンチャーズがカバーし、1964年のアルバム『ノック・ミー・アウト』に収録されました。彼らのバージョンは、オリジナルのクラシカルな要素をロック調にアレンジし、エレキギターの特性を最大限に活かしたことで人気を得ました。シングルとしてもリリースされ、全米ビルボードチャートで35位を記録しています。

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