① 保安距離とは、製造所等の火災、爆発等が発生した場合、付近の住宅、学校、病院等の保安対象物に対して、延焼防止や避難等の為に一定の距離を定めたものです。
② 保有空地とは、消防活動及び延焼防止の為に製造所の周囲に確保する空地のことです。空地内には、どのような物品であっても置くことはできません。
12ある危険物施設のうち、下記の6施設に必要です。
製造所等 (危険物施設) | 保安距離 | 保有空地 |
---|---|---|
1. 製造所 | 〇 | 〇 |
2. 一般取扱所 | 〇 | 〇 |
3. 屋内貯蔵所 | 〇 | 〇 |
4. 屋外貯蔵所 | 〇 | 〇 |
5. 屋外タンク貯蔵所 | 〇 | 〇 |
6. 簡易タンク貯蔵所 (屋外に設置) | X | 〇 |
① 学校(幼稚園~高校)、病院、公会堂等 ……………………30m以上
(学校と人の集まる公共の施設。大学、短大は必要なし)
② 一般住宅 (製造所の敷地外にあるもの)……………………10m以上
③ 重要文化財 ………………………………………………………50m以上
④ 特別高圧架空電線 7000~35000V以下 …3m以上→埋設電線は必要なし。
⑤ 特別高圧架空電線 35000Vを超えるもの …5m以上
⑥ 高圧ガスの施設 …………………………………………………20m以上
区 分 | 空地の幅 |
---|---|
指定数量の倍数が10以下の製造所 | 3m 以上 |
指定数量の倍数が10を超える製造所 | 5m 以上 |
街角のガソリンスタンドや化学工場のフェンス越しに広がるスペース。それは単なる余白ではなく、法律で規定された「保安距離」と「保有空地」という二つの安全ラインです。これらが、火災や爆発のリスクから私たちの暮らしを守っています。
保安距離とは、危険物を扱う施設と周囲の建物・設備との間に設けられた最低限の隔てです。
一般住宅では外壁から10メートル以上、学校や病院など多くの人が集まる場所では30メートル以上、重要文化財級の建築物では50メートル以上と、用途に応じて詳細に定められています。
また、高圧送電線の場合も電圧に応じて3~5メートルのクリアランスを保持し、爆風や飛散物の影響を最小限に抑えます。
その外側に位置するのが保有空地です。
ここには消火器や機械、柵を設置することが一切できずに、消防隊がホースを扱いやすいよう常に空白に保たれていて、避難誘導や初期消火のためのアクセスルートとして、緊急時に備えた動線が確保されています。
この二つの仕組みは、都市の隅から隅まで張り巡らされた目に見えない防護壁です。
緊急時に延焼や爆風を防ぎ、消火活動や避難を円滑に進める為の重要な規則で、普段は目立たない空地やラインですが、私たちの安全を静かに支える花道のように、常にそこに存在しています。