① 指定数量とは、その危険性を勘案して政令で定める数量と規定されています。
危険性の高い危険物は「指定数童を少なく」、危険性の低い危険物は「指定数量を多く」なるように定めています。
また、危険物の指定数量は、全国同一です。
② 指定数量未満の危険物については、市町村の火災予防条例で基準が定められています。
——————————–ガソリンの貯蔵量(ℓ)
・指定数量の倍数= ―――――――――――――――
——————————-ガソリンの指定数量(ℓ)
品 名 | 性 質 | 指定数量 | 主な物品 |
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特殊引火物 | 50ℓ | ジエチルエーテル、アセトアルデヒド | |
第1石油類 | 非水溶性 | 200ℓ | ガソリン、ペンゼン、トルエン |
水溶性 | 400ℓ | アセトン | |
アルコール類 | 400ℓ | メチルアルコール(メタノール) エチルアルコール(エタノール) |
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第2石油類 | 非水溶性 | 1000ℓ | 灯油、軽油 |
水溶性 | 2000ℓ | 酢酸 | |
第3石油類 | 非水溶性 | 2000ℓ | 重油、クレオソート油 |
水溶性 | 4000ℓ | グリセリン | |
第4石油類 | 6000ℓ | ギヤー油、シリンダー油 | |
動植物油類 | 10000ℓ | アマニ油、キリ油 |
指定数量とは、消防法施行令別表第一で定められた危険物ごとの「許容上限量」を指します。
ここに掲げられた量を超えて貯蔵・取扱い・設置・運搬を行う場合は、都道府県知事(消防長等)の許可が必要となり、建屋の構造や設備、管理体制まで所管消防署の審査対象になります。
例えば、揮発性の高い第4類第1石油類(引火点21℃未満のガソリンなど)は指定数量が50リットル程度に設定されている一方、引火点の高い第4類第3石油類(灯油など)は200リットル前後と差があり、酸化性固体(第5類)では過塩素酸塩類のようにキログラム単位で定められています。
これらの基準は物質の引火性・爆発性・酸化性など危険性の度合いに応じたもので、基準を超えれば施設は単なる倉庫から防爆・耐火・保安措置を備えた高い安全基準の場へと変わります。
指定数量の算定については、容積(リットル)で規定されたものもあれば重量(kg)で示されるものがあり、液体類では比重を使ってリットル換算を行う必要があります。
さらに同一敷地内で複数の「同類」危険物を扱う場合は、それぞれの実保管量を指定数量で除した倍率(実保管量÷指定数量)を合算して総和が1を超えるかどうかで判断します(合算規定)。
この為、個々が微量であっても合計すると許可基準を超えることがあり、在庫管理、入出庫のタイミング、保管場所の分散といった運用面の工夫が求められます。
さらに季節変動や工程ごとの一時保管、輸送中の一時保管といった「一時的な蓄積」も評価対象になる点に注意が必要です。
許可取得・維持には建築的・設備的・運用的な要件が詳細に求められます。
例えば、防爆電気設備や接地・静電気対策、耐火構造の仕切りや二次的なこぼれ防止(受槽・堤防)、強制換気の容量と排気経路、火災感知器や消火設備の配置、漏洩時の処理ライン等が図面段階から審査されます。
運用面では危険物取扱者(甲種・乙種・丙種)の配置、保安監督者による巡回・点検記録の整備、従業員向けの教育訓練と避難訓練の実施、危機対応マニュアルや近隣住民への情報提供体制が不可欠です。
加えて、定期点検や定期報告、消防署の立入検査に対する迅速な対応能力も求められるため、ハード(設備)とソフト(手順・記録・訓練)の両面で継続的な投資と管理が必要となります。
一方で、指定数量に満たない「少量危険物」だからといって管理が緩くて良いわけではありません。
多くの市町村では簡易な届出や保管場所の標示が求められ、携行缶や小型ボトルでの保管でも容器の耐圧・耐薬品性や適切な表示(引火性表示、品名表示)、施錠や換気など最低限の保管ルールが法律や条例で定められています。
さらに廃棄方法、漏洩発生時の初期対応、近隣環境への影響評価、保険や賠償責任の備えといったリスク管理も怠れません。
結局のところ、数量の大小にかかわらず化学品の潜在リスクを正しく評価し、予防と対応の仕組みを現場に根付かせることが、安全文化の基盤となる訳です。