第一条(建物の区分所有)

(区分所有法)第一章 建物の区分所有
【第一条】

一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

 

解 説

所有権は、自分のモノについての権利です。
 
所有権は非常に強力な権利で、排他的利用が法的に可能、などと説明されることがあります。
平たく言えば、自分のモノは、自分のモノとして好きなように使っていいということです。
使い方はもちろんのこと、処分してもいいですし(捨てても売っても)、許可なく他人に持ち去られたら返して欲しいと要求できます。

この所有権は一つのモノに対して、一つ成立するのが原則です。これを一物一権主義といいます。
スーパーで売っている商品はスーパーの所有物ですが、一つの商品(バナナとか、キャベツとか)を購入すると、その商品の所有権が買い手に移ります。
一方で、一つのモノを一人の人が所有する、というルールはありません。複数の人が一緒に所有することもできます。これを共有、と言います。

夫婦でスーパーに買い物に出掛け、夫婦揃って好物のスモークチーズが安く売っていたので購入した場合、このチーズは夫婦の共有になるものと考えられます。共有物は、共有者の合意で処分を行う必要があり、買い物帰りに妻をお稽古事に送り出した夫が、妻の帰りを待ちながら、待ちきれなくてビール片手にチーズを平らげてしまうと紛争に発展します(我が家で実際に起こった出来事を元にしているのではございません)。

しかし、マンションのようなものはこの一物一権主義には馴染みずらいのです。そのため、いわゆる区分所有法が成立し、独立して利用できる部分は、独立の所有権の対象となることとされています。
言い換えると、この区分所有法に記載がある事項については民法の原則が修正されています。
具体的な修正項目については、各条の説明をご参照ください。

 

POINT

一棟の建物では、通常、民法の「一物一権主義」が採用され、全体では一つの所有権が確立します。
「一物一権主義」とは、一つの物には一つの所有権しか存在しないという概念です。
しかし、一棟のマンション全体において一つの所有権しか成り立たないとすれば、複雑な問題が生じます。
この考え方からすれば、マンションの各室は独立的な部屋であるとしても、一棟のマンションの一部であるため、各部屋ごとにそれぞれ独自の所有権が成立しないことになります。
四部屋からなるマンションでも、ABCDの四人がそれぞれ一部屋に対する所有権を持つことはできず、一棟全体がABCD四人で共有されることになります。
このままでは、マンションの状態を維持するための保存活動を除いて、他の共有者と相談する必要があり、大変不便です。
そこで、一物一権主義を適用せず、各部屋ごとに所有権の確立を認めるための法律が必要となったのです。
そして、その法律が「建物の区分所有等に関する法律/区分所有法」なのです。

 

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