区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
区分所有法第3条では、区分所有者が全員で、建物や敷地を管理するための団体を構成して、管理者を置くことができる、と定めていました。
その管理者の選び方は、規約に定めればその定めたとおりの方法で、規約に何も決めていなければ集会の決議で決まります。解任についても同じで、規約に定めればその定めたとおりの方法で、規約に何も決めていなければ集会の決議で決まります。
規約で定める方法は、全戸順番に、でもいいですし、毎年くじ引きで決めるでもいいですし、じゃんけんでも、何でもかまいません。
そもそも管理者を決めなくてもいいのです。決めることが「できる」だけで決めなくてはならないと区分所有法第25条には記載されていないので。
よくマンションには管理員さんがいますが、管理員は本条でいう管理者とは異なることが多いです。また、管理会社も本条の管理者には該当しない場合が多々あります。
一般には、理事の中から理事長が選ばれるものと思いますが、あの人が管理者とされている場合が多くあります。管理会社は管理者から業務委託を受けて管理業務を行う会社、管理員は管理会社に雇われてマンションの管理をする人、のイメージを持っていただければいいと思います。
なお、管理者の解任は上記の通り集会で行います。ただ、集会がまともに開かれない場合には、裁判所に請求して管理者を解任することができます。
この場合、管理者が不正な行為その他その職務を行うに適さない事情がないと、裁判所も解任してくれません。誰でも彼でも請求があれば解任される、というのもおかしな話なので、一定の歯止めは必要、ということです。
マンションなどの区分所有建物では、日常の管理やトラブル対応を担う「管理者」を置くことができます。
区分所有法は、この管理者の位置づけや権限、そして「誰を管理者にするのか」「ダメだと思ったらどうやって交代させるのか」といったルールを定めています。
その中でも、管理者に関する基本中の基本を示しているのが、区分所有法第二十五条「選任及び解任」です。
1. 区分所有法第二十五条とはどんな条文?
区分所有法第二十五条は、管理者の「選任及び解任」に関するルールを定めた条文です。
ポイントは次の2つです。
1. 管理者は、区分所有者全員の集まりである「集会」で決議して選任する
2. 管理者をやめさせる(解任する)場合も、同じく集会の決議が必要
つまり、管理者は誰か一人が勝手に決めたり、少数の意見だけで交代させたりできるものではなく、「区分所有者全体の意思」を前提に選任及び解任が行われる、という仕組みになっています。
2. 管理者の「選任」はどのように決まる?
区分所有法第二十五条は、管理者を選ぶ方法として「集会の決議」を要求しています。
ここでいう「集会」とは、いわゆるマンションの総会(区分所有者の集会)のことです。
「過半数の要件」
管理者の選任決議には、次の2つの「過半数」が必要とされています。
・議決権の過半数
・区分所有者の数(頭数)の過半数
つまり、
・部屋数は多く持っているが一部のオーナーだけが賛成している、
・あるいは人数は多いが、持ち分(議決権)が少ない人たちだけが賛成している、
このどちらか一方だけでは足りず、「人数」と「議決権」の両面で過半数の賛成を得る必要があります。
これは、少数の大口所有者の意見だけで物事が決まってしまうのを防ぎ、区分所有者全体のバランスを取るための仕組みといえます。
3. 「解任」も同じルールで決める
一度選任された管理者が、必ずしも最後まで適切に職務を遂行してくれるとは限りません。例えば、
・会計処理が不透明
・管理費の使い方が疑わしい
・区分所有者とのコミュニケーションが取れない
・業務を放置している
といった事態が起こることもあり得ます。
区分所有法第二十五条では、こうした場合に備え、管理者の「解任」も集会の決議で行うことを定めています。
選任と同様、ここでも
・議決権の過半数
・区分所有者の数の過半数
による賛成が必要です。
つまり、選任及び解任の両方について、同じレベルの合意が求められる構造になっています。
「選ぶときも、やめさせるときも、区分所有者全体で決める」というのが第二十五条の基本的な考え方です。
4. なぜ「選任及び解任」を集会決議にしているのか
管理者は、単に事務作業を行うだけの存在ではなく、次のような重要な役割を担います。
・建物・敷地の維持管理の統括
・会計・出納の管理
・共用部分に関する契約行為(清掃会社との契約など)の窓口
・トラブルが発生した際の初期対応や調整役
このように、管理者は区分所有建物の運営に大きな影響力を持つため、区分所有法は、その選任及び解任について「集会での合意」を必須としているのです。
また、過半数の決議を要件とすることで、
・特定の少数派だけが有利になる管理運営
・区分所有者の多くが納得していない管理者の居座り
といった事態を防ぎ、「みんなの財産をみんなで守る」という区分所有法の基本理念に沿った運営がしやすくなります。
5. 管理者選任・解任を考えるときの実務的なポイント
区分所有法第二十五条の枠組みを踏まえ、実際のマンションで管理者の選任及び解任を検討するときには、次のような点が重要になります。
・議案を総会の招集通知に明確に記載する
・候補者の経歴や役割分担、報酬の有無・額を事前に説明する
・解任を検討する場合は、その理由や問題点を客観的に整理する
・区分所有者同士で十分な情報共有・意見交換を行う
こうしたプロセスを丁寧に踏むことで、形式的に「過半数を取る」だけでなく、実質的にも納得度の高い選任及び解任が可能になります。
6. まとめ:第二十五条は「みんなで管理する」ための基本ルール
区分所有法第二十五条は、管理者の「選任及び解任」に関するルールを通じて、
・管理者は区分所有者全体の代表であること
・その代表を決める・交代させるのは、区分所有者の集会であること
・過半数の賛成を通じて、できるだけ多くの区分所有者の意思を反映させること
を制度として担保しています。
管理者任せにせず、区分所有者一人ひとりが、「誰に管理を任せるのか」「どのような管理を求めるのか」を意識することが、住みやすく、資産価値も維持できるマンション運営につながります。
区分所有法第二十五条は、そのためのスタート地点となる重要な規定なのです。