第五条(規約による建物の敷地)

(区分所有法)第一章 建物の区分所有
【第五条】

区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。
 
2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。

 

解 説

「建物の敷地」については区分所有法の2条に定義がされています。
何が建物の敷地なのか、ではなく、区分所有法において、「建物の敷地」という言葉はどのような意味なのか、になります。
復習しておきますと、
1)建物がある土地
2)規約で定めた土地
が建物の敷地です。規約に書いておけば何でもいいのか、というとそんなことはなく、建物や建物のある土地と一体となっている土地です。

わざわざ規約に書いて「建物の敷地」に含める土地とは、具体的にはなんでしょうか。
条文にある庭、通路、あるいは駐車場などが、建物のある土地に収まらなければ、規約で定めて「建物の敷地」に組み込まれることが多く実例としてみられます。

なお、一体となっている、は、物理的に隣接していることが求められているわけではなく、マンションの建物と、駐車場の間に道路があってそこはマンションの敷地ではないとしても、一体であるとされています。

さて、建物がある土地は、その建物がなくなると定義から、建物の敷地、ではなくなります。具体的には地震により建物の一部が倒壊した場合、その倒壊した部分の建物があった土地は、建物の敷地から外れてしまいます。
しかし、地震で建物が壊れた瞬間に権利関係が変動してしまうと、混乱のもとになります。そこで、この場合には建物の敷地、のままになるように、そのような規約があるものとされています。

この扱いは、建物がある土地が分割されて、その分割された一部には建物がない場合に、その建物がない部分の土地ができてしまった場合、その建物がない部分の土地も建物の敷地に、規約に書いたことになって、含まれます。

 

POINT

民法上、土地と建物は別個の不動産と扱われるため、本来は建物の区分所有権とその敷地利用権を個別に処分することも理論上は可能です。しかし、区分所有建物でこのような処分を認めると、敷地利用権を有しない区分所有者が生じ得るという深刻な問題が出てきます。

例えば、マンションで敷地利用権のない区分所有者が自分の専有部分だけを取り壊したり改変したりすると、共用部分や他の住民の利益との調整が著しく困難になります。
こうした利害調整の観点から、後述する二十二条では、専有部分・共用部分と敷地利用権を切り離して処分することを認めないと定めています。

そこで問題となるのが、「敷地のどの部分が専有部分と分離できないか」を明確にすることです。
これを定めたのが第五条であり、同条により専有部分に帰属する敷地の範囲が法的に確定されます。
実務上は管理規約(規約)において第三者や金融機関との関係、敷地の利用方法や負担割合を具体的に定めることが求められ、第五条の規定はその基礎となるのです。

 

関連記事

デジイチ写真

TOP
CLOSE