共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
共用部分の重大な変更をするためには、
(1)区分所有者の3/4が賛成する
(2)議決権の3/4が賛成する
の2つの条件が両方とも整うことが必要、というのが原則です。条件が整っていることは集会で確認します。
この共有物の重要な変更についての民法のルールは全員の合意による、です。一人でも反対する人がいる場合には変更することができません。先の車の例では、シャコタンしたい!と思っても後の二人がうん、と言ってくれなければできません。区分所有法ではこの点が多数決に変更されています。
次に、共有部分の重大な変更とは、例えば、今まで階段があった部分にエスカレーターを設置するような場合をいいます。あまり細かい変更(階段の色を塗りなおすとか)まで、集会を行うのは大変なので、細かい場合はここまで面倒な要件で決議する必要はありません(こちらは重大ではない変更といいます)。
次に、条件のうち、(1)は区分所有者の過半数が賛成する、ところまで軽減することができます。軽減するためには規約に記載する必要があります。逆に(2)は軽減することができません。
また、変更によって専有部分を使うときに、特別に影響が生じる人がいる場合には、その人が賛成していることが必要です。先のエスカレーターの例では、エスカレーターの動力が部屋のまん前に置かれてとてもうるさい思いをする人がいる、と言う場合には、その家の人の賛成を得る必要があります。もちろん、その動力が2つ以上の専有部分に迷惑を掛けるのであれば、その全ての専有部分の区分所有者が賛成している必要があります。
共有部分に関する「重大な変更」については、基本的に区分所有者および議決権のそれぞれ四分の三以上による特別決議が必須であり、専有部分に対して特別な影響がある場合には、該当する専有部分の所有者の同意が求められます。
区分所有法第17条は、マンションの共用部分における変更の意思決定に関するルールを定義しています。
共用部分の改変が「形状または効用の顕著な変化」をもたらす際には、区分所有者数および議決権の各々が四分の三以上で構成される集会における特別決議が必要となります。
この厳しい基準は、共有者全体の利益を保護するために設けられています。
一方、「形状または効用の顕著な変化を伴わない変更」については通常決議での対応が可能とされており、軽微な改良や一般的な大規模修繕のほとんどは、通常決議で対処できる場合があります。
ここでの「形状」は外観や構造の変化を、「効用」は機能や用途の変更を指します。
さらに、共用部分の変更が特定の専有部分の利用に特別な影響を与える場合、その専有部分の所有者の同意が不可欠です。同意なく進行することで、その所有者との紛争や無効主張が生じる可能性があります。
また、法改正や標準管理規約の改定によって実際の取り扱いが変わる可能性があるため、総会での決議条件や規約の文言は定期的に見直すことが望ましいです。
実務上の留意点として、規約の規定が法律と異なる場合の対応や、規約で「区分所有者の人数を過半数に減少させる」規定を設けられること、さらに規約そのものを改正しておくことでトラブルを避けられる点に留意することが重要です。
総会の運営や工事計画の段階では、影響範囲の整理と関係者への説明や同意の取得を丁寧に行うことが推奨されます。