第十三条(共用部分の使用)

(区分所有法)第一章 建物の区分所有
【第十三条】

各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。

 

解 説

区分所有法では、各共有者が共有部分をその用法に従って使用することができるとされています。この13条は先にご説明させていただいたとおり、民法の共有の規定の特則になります。
では、原則である民法の共有のルールはどうなっているのか、というと、共有物の全部について持分に応じて使用できる、です。
 
先の車の例で考えてみます。3人で共有している車を誰かが使うということは、通常はその人が車全体を使うことになります。ややこしいので3人でドライブに行ったようなことを聞かないでいただきたいです。
ここで言っているのは車を分割して使う、ということはあまり想定されていない、ということです。分割してとはタイヤだけ姉が、弟がエンジンだけ、ということはありえない、ということです。ただ、持分(つまりは出したお金)によって使える頻度には差をつけることになります。
 
これに対して、区分所有法が適用されるマンションの廊下やエレベーターは持分で使用頻度、何度廊下を往復していいのか、エレベーターを呼べるのは何回までか、を分ける必要は通常はありません。そのため、廊下は誰でもいつでも、通行のために利用することができます。
 
ポイントはこの「通行するために」という点で、そのモノが想定されている用途で利用されると「用法に従った使用」になります。廊下に物を置いたり、そこで飲食したりするのは、用法には従っていないので許されない、ということになります。逆に民法の共有では「用法に従った」使用を求められてはおらず、車をドライブに使うもよし、たまには車で寝てみようもよし、車の上で日向ぼっこしたっていいわけです。

 

POINT

区分所有法第13条と、それに基づく「専用使用権」は、マンションなどの共有建物における暮らし方を具体化する重要なルールです。
第13条の趣旨は、各区分所有者が建物の共用部分をその「用途」に従って使うことができるという点にあります。
ここでいう共用部分とは、廊下や階段、屋根、外壁、エレベーターといった建物本体に属する部分のほか、敷地全体を指す共用敷地も含まれます。
複数の共有者がいる状況では、こうした共用部分や共用敷地の使い方が日常のトラブルの温床になりやすいため、基本原則の理解が不可欠です。

一方、「専用使用権」は、共用部分のうち一定の区画を特定の区分所有者だけが排他的に使えるようにする仕組みです。
バルコニーの区画、専用庭、駐車区画や駐輪区画、専用トランクルームなどが典型例で、管理規約や総会の決議、あるいは登記によって運用を明確にすることができます。
専用使用権の有無や内容は、所有者の交代時にも問題になりうるため、登記や規約で権利関係をはっきりさせておくと安心です。

共用部分や共用敷地の使用は原則として用途外の利用は認められませんが、共有者間の合意や管理組合の規約改定で例外を設けることも可能です。
実務的には、規約の整備、総会の合意形成、必要に応じた登記で責任分担と使用ルールを明確化し、紛争はまず規約や登記を確認した上で管理組合で調整し、それでも解決しない場合は第三者の仲裁や法的手続きを検討する、という流れが現実的です。

 

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