各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
共有部分の負担、及び共有部分から発生する利益は、持分に応じて分配されるのが原則です。
共有部分の負担とは、共有部分の掃除代、照明等の電気代、管理員等の人件費、エレベーター等の保守料、などなど、共有部分に関して発生する一切の負担を意味しています。共用部分から直接生じた費用以外にも、理事会の会議費等、区分所有者全員に効果が及び、特定の人が費用負担するのがなじまないもの、も負担に含めるのが一般的です。
これに対して利益の方ですが、駐車場や駐輪場の利用料が主たるもので、敷地内に自動販売機を置いた場合に受け取る手数料だとかが含まれます。
通常は、負担の方が利益より大きくなります。そして、利益は負担と相殺されて(つまり、利益の分だけ負担が減る)ことで調整されます。
分配される、とはこのような意味であって、各区分所有者に利益が現金で渡されるいう意味ではありません。これは、万が一、利益が負担を上回った場合であっても、その上回った中の自分の持分相当を要求することはできません。この点が民法の共有との違いとして挙げられます。
前後しますが、持分は、規約で特に定めていない場合には、専有部分の床面積によって定まることは以前ご説明させていただいたとおりです。
そして、以上の内容については規約に別のルールを定めることができ、その場合には規約のルールが優先されます。共用ドアを取り替える場合には、当該ドアを使用した頻度(何度開け閉めしたのか)に応じて費用を徴収することも、規約で定めればやれないことはありません。
第十九条は、マンションなどの共用エリアに関わる費用やそこから生じる利益について、基本的には各区分所有者の持分に併せて負担・受領することを規定しています。規約に別の取り決めがなされれば、その内容が優先されます。
共用エリアの「負担」とは、管理費や修繕積立金など、建物の維持・管理に必要な費用の負担を意味します。
第十九条はこれを「持分に応じて負担するのが基本」であると明示しており、持分は通常、専有部分の面積比率に基づいて決定されます。
つまり、面積の大きい部屋ほど負担割合が高くなるのが基本です。
しかしながら、「規約で別の取り決めが可能である点」が重要です。
例えば、専有部分の面積にほとんど差がない集合住宅では、管理費を各戸均等にすることを規約で定めることができますし、店舗や事業用区分が存在する複合用途マンションでは、用途に応じて負担割合を変更することも実際に見受けられます。
このため、実際の負担割合は「基本」だけでなく「管理規約の内容を確認することが不可欠」です。
共用部分から発生する利益(例えば共用施設の使用料金や広告収入など)も同様に「持分に応じて収取するのが基本」とされますが、規約で収益の使途を修繕積立金に振り替えるように定めることも可能です。
実務においては、管理組合の総会決議や規約の改定が関連するため、疑念があれば管理組合の規約や総会議事録を確認することをお勧めします。