一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。
一部共有部分は、第11条でさらっとご説明させていただいた話で、一部の人のみの共有となっている部分のことを言います。15階建てのマンションで12階から上に行くためだけの階段がある、という場合もありますし、低層階に店舗があり、上が住居となっているマンションの、住居用のエントランスやエレベータという場合もあります。
一部共用部分は、その部分を使う人の共有になります。上記の例では、店舗の従業員や経営者が住居部分に立ち入る必要が普通はないため、立ち入れないようになっている場合が多いです。
使用については、関係ない人は使えない、で問題ないのですが、一部共用部分の管理については、その部分を使う人だけに決めさせると建物全体としては困ったことになる場合があります。
これも具体例を挙げれば、一部共有部分が崩れかけていて危ないのに(しかも完全に崩れた際には一部共用部分以外にも損害を与えそうなのに)、一向に直されない、等、マンションの住人全体にとって望ましくない管理が行われてしまう可能性があります。
そこで、区分所有者全員の利害に関係するものについては、例え一部共用部分であっても、区分所有者全員で行うことになっています。また、規約で、全体で管理すること、と決めることもでき、この場合には全体で管理する、ということになります。
逆に、全体の利害にも関係なく、規約にも記載のない部分は、その部分を使う区分所有者で管理を行うことになります。
区分所有法第十六条は「部分的共用エリアの管理」に関する規定を示しており、分譲マンションなどの場合に特定の専有部分に関連する共用エリア(いわゆる部分共用エリア)の管理方法や負担の分け方を明示しています。
法律の内容や解説は、共用エリアの取扱いをはっきりさせることで、住民間の対立を防ぐ役割を果たします。
部分共用エリアとは、建物全体の共用エリア(廊下・エントランス・屋根など)とは異なり、特定の専有部分に付随する共用的な施設やエリアを示します。
例えば、専有部分の床下や専有住戸に付属する階段・通路・機械室などで、これらの利用や管理は特定の専有部分と密接に関連しています。
基本的に、部分共用エリアの管理は区分所有者全体の規約(管理規約)で定めることが可能です。
管理費用や修繕費の負担は原則的に各区分所有者の専有部分の床面積比率に基づいて決定されますが、管理規約において異なる規定を設けることも許可されています。
国や専門家の指針でも、管理規約の整備の重要性が繰り返し強調されています。
【管理費用などの負担比率】
原則は専有部分の床面積に基づく按分ですが、以下の状況では規約で異なる負担比率を定めることが許可されています。
・部分共用エリア自体の形状や使用目的が特別で、専有部分の床面積による按分では公平にならない場合
・商業用に使用される区分所有部分が存在し、その使用頻度や利益が異なる場合
こうした点は判例や業界での解説でも示されており、管理規約には用途区分や負担区分を明確に定めておくことが望ましいとされています。
管理規約で別の規定を設ける場合でも、その規定が他の区分所有者の権利を不当に侵害しないことが重要です。
国土交通省の「マンション標準管理規約」の解説は、管理組合が作成する管理規約の内容やルール設定に関する実務的な注意点を示しており、ルール作成時には「利用規則」によってルールの運用方法を明確にすることが推奨されています。
【実務上のポイント】
・部分共用エリアが存在する場合、管理規約や利用規則に「誰が利用し、どのように費用を負担するか」を具体的に記載しておくことでトラブルを減らせます。
・商業用途(店舗やオフィス)が混在するマンションでは、居住用と商業用の負担比率や使用ルールの分離を検討してください。
・管理規約を改訂する際は、変更が一部の区分所有者に特別な不利益をもたらすかどうかを慎重に考慮し、必要であれば専門家(弁護士やマンション管理士)に相談することをお勧めします。