【位置・構造・設備】
① 車両の常置場所(常置場所を変更するときは、変更の許可が必要になる。)
屋外……防火上安全な場所
屋内……耐火構造又は不燃材料で造った建築物の1階(地階や2階に設けることはできない)
② タンクの容量 30,000ℓ以下 4,000ℓ以下ごとに間仕切り板を設けること。
③ タンクの下部に排出口を設ける場合には、手動閉鎖装置及び自動閉鎖装置を設けること。
④ ガソリン、ベンゼン等の移動貯蔵タンクには、静電気を除去する接地導線を設けること。
【貯蔵の基準】
① 移動タンク貯蔵所には次の書類を備え付けておくこと。
1.完成検査済証 2.定期点検記録 3.譲渡、引渡の届出書
4.品名、数量又は指定数量の倍数の変更の届出書
② 備え付けておく必要のない書類
1.危険物保安監督者の選任、解任の届出書 2.許可証(設置許可証)
3.始業時、終業時の点検記録
【取扱いの基準】
① 危険物を注入する際は、注入ホースを注入口に緊結する。
② 詰め替えできる危険物 → 引火点40℃以上の第4類の危険物(灯油、軽油、重油等)
③ 静電気除去のためにタンクを接地し、注入管の先端をタンクの底部につけること。
④ 引火点40℃未溝の危険物を注入する場合は、エンジンを停止して行うこと。(ガソリン、ベンゼン等)
【移送の基準】
移送とは、移動タンク貯蔵所(タンクローリ一)で危険物を運ぶことをいう。
① 移送する危険物を取り扱える資格を持ゑた危険物取扱者が乗車し、危険物取扱者免状を携帯すること。
② 移送の開始前に、移動タンクの底弁、消火器等の点検を十分に行うこと。
③ 長距離、長時間(連続4時間、1日9時間を超える場合)移送は、2人以上で行うこと。
④ 休憩のため一時停止させるときは、安全な場所を選ぶこと。
⑤ 移送中災害等が発生するおそれのある場合は、応急措置をして、消防機関等に通報すること。
【位置・構造・設備】
① 貯蔵場所は湿潤でなく、かつ、排水のよい場所。周囲には、さく等を設けて明確に区画すること。
② 架台は不燃材料で造るとともに、堅固な地盤面に固定すること。(可動式の架台は、動くと危険なので設置してはならない。)
③ 架台の高さ 6m未満
【屋外貯蔵所に貯蔵できる危険物】(〇印)
〇硫黄(第2類)
〇引火牲固体(引火点0℃以上のもの)
〇トルエン(引火点4℃)→ 第1石油類は、引火点0℃以上OK。
〇アルコール類、第2石油類(灯油、軽油等)~ 動植物油類のすべてOK。
貯蔵できない(X印)
Xナトリウム Xカリウム X炭化カルシウム(カーバイド) X黄りん
X赤りん X鉄粉 X過酸化水素 X塩素酸塩類
X特殊引火物 Xガソリン(引火点-40℃) Xアセトン(引火点-20℃)
Xベンゼン(引火点-11℃)→ 第4類は特殊引火物と引火点が0℃未満の第1石油類がダメ。
【移動タンク貯蔵所の概要】
移動タンク貯蔵所は、トラックやトレーラー、搭載型タンクなどの移動可能な容器に危険物を貯蔵・供給するための設備であり、種類や設置形態に応じた詳細な基準が設定されています。
常設の場所と一時的な設置、単体型と搭載型の区分があり、それぞれに適用される設計や安全基準が異なります。
構造上のポイント
移動タンクは走行や積み下ろしに耐える強度、振動や衝撃に対する固定装置、底部や継ぎ手の耐久性が極めて重要です。
板の厚さや材料の選定は法令や基準表に基づいて決定され、屋根や底部の形状(円筒形、横置き、球形など)により構造的な取扱いが変わります。
また、加圧・非加圧の区分や給排気系の設計に従い内部圧力管理や通風対策が求められます。
設備上のポイント
給油や注排装置は漏洩防止と安全遮断機能を具備し、接地や静電気対策・過圧保護が必須です。
常設場の表示や標識、消火器などの防災設備、車両の停車位置や周囲の排水設備にも配慮した配置が求められます。
常設場は出入口や視認性の高い位置に標示し、周囲と機能的に区分けする運用が推奨されます。
【屋外貯蔵所の概要】
屋外貯蔵所は固定式タンクや複数のタンクを屋外に配置して危険物を保管する施設で、位置や配置、保有空地、区画、囲いなどの基準が詳細に定められています。
保安距離や周辺環境への配慮、排水・漏洩対策といった項目が設計時に重視されます。
構造上のポイント
タンクの基礎や架台は地震や風荷重を考慮した強度で設計され、支柱や係留の有無、転倒防止措置が必要です。
タンクの形状(円筒形、ドーム屋根、球形など)や屋根の形式に応じた板厚や材料の選定が基準で規定されており、溶接部分や継ぎ手の品質管理、内部圧力検査や水圧試験により安全性が確保されます。
保安距離は周辺の建物や危険物区域との関係で定められ、隣接施設への拡散や延焼を抑制するための配置計画が必要です。
設備上のポイント
屋外では排水設備と漏洩時の遮断・回収システムが重要で、地表面の処理(コンクリートの設置や排油溝)により流出拡散を抑えます。
区画や掲示、標識の整備や耐火性のある仕切り、可燃物の混在防止、消火設備(消火栓、泡消火設備など)や初期消火体制の計画が求められます。
さらに、貯蔵所周囲の空地や囲いの設計により、管理や点検作業を安全に行う通路と避難経路を確保します。
まとめ
移動タンク貯蔵所と屋外貯蔵所は、用途や形態の違いから、構造や設備に求められる条件が明確に異なります。
移動タンクでは機動性、走行や荷役に耐える構造、漏洩防止と静電気対策が要点となり、屋外保管施設では基礎や架台の強度、保安距離、排水・遮断設備、消火や表示の整備が中心となります。
運用の際には、該当する基準や告示を参照し、具体的な板厚、材料、保安距離、設備仕様を確認することが重要です。