昔、小学校の帰り道を歩いていると、途中にある高校の校舎から、そこの生徒が練習しているエレキバンドの音が聞こえて来ました。
当時流行っていたグループサウンズの曲でしたが、電気で増幅されたギターの迫力と地を這うようなベースの重低音、ハイハットの響きにバスドラムの振動など、今までに聞いたことがない「五感を刺激する」ような魅力的な音でした。
特にドラムのアンサンブルは強烈な印象だったので、それ以後ドラムの音が脳裏に刻まれてしまい、ある日、朝の登校時に駅で電車を待っている時、向いのホームに電車が入ってきたのですが、車輪がレールのつなぎ目を通過するときの軋んだ音がシンバルのように聞こえたりしました(笑)
さて、エレキバンドのドラムの虜になってしまった私は、事あるごとにドラムを叩くマネをするようになりました。
学校では、教室の机の天板をスネアドラムがわりに手で叩いたり、木の床をバスドラムがわりに足の裏でリズムを刻んだりしていました。
家では、台所にあったロウ紙(パラフィン紙)をサラダボールの上に貼り、スティックがわりの長い箸で叩くと、スネアドラムみたいな音がするのでハマっていましたが直ぐに破れるのが欠点でした。
そのうち、本物を叩きたい欲求が抑えられなくなり、巷で有名な激安楽器店に行ってみました。
ところが、一番安いドラムセットでも2万円位したので、その頃の自分にはとても手が届かず、その上実物を目にすると、自宅に持ち込んで叩くにはサイズがデカ過ぎてとても無理、、、現実の厳しさを感じたひと時でした(泣)
そんなこんなで、しばらくは気抜けした日々を送っていましたが、ある日デパートに母親と買い物に行った時、たまたま楽器売り場を横切ったのですが、陳列台の上の方に飾ってある「ドラムセット」が目に飛び込んできました。
通常よりもひと回り小さい「ミニドラム」で、色は鮮やかな赤ダイヤでした。
気になる値段は、五千円チョット! ムムム!このチャンスを逃す手はないと思った私は、必死のパッチで母親を説得して念願のドラムセットを手に入れたのです。