レアアースは「希土類元素」と呼ばれる17種の元素の集合体であり、現代の先端技術機器や再生可能エネルギーに不可欠な貴重な資源です。
用途に応じて求められる元素が異なるため、供給の不均衡が国際的な問題となっています。
世界の生産や貿易は特定の国に集中しており、供給リスクは地政学的な課題とも関連しており、最近では各国が戦略的にレアアースの確保や代替技術の開発を進めていることが注目されています。
レアアースは、17元素(ランタノイドに加えスカンジウムとイットリウムを含む)を指し、性質が類似しているため、鉱石中で同時に採掘されます。
代表的な元素として、ネオジム(Nd)は強力な永久磁石に、ジスプロシウム(Dy)は高温での磁力持続に利用され、ユーロピウム(Eu)やテルビウム(Tb)はディスプレイや照明の蛍光体として使用されます。
具体的には、電気自動車(EV)のモーターや、風力発電の永久磁石にはネオジム磁石が不可欠であり、1台のEVに数kgのネオジムが必要とされることもあります。
そのため、再生可能エネルギーや電動化の進展が需要を引き上げています。
また、脱炭素やデジタル化を支える基盤資源としての必要性が高く、リサイクル技術の向上や代替材料の研究、安定供給のための多国間協力が今後ますます重要になります。
供給面では、中国の影響力が大きいことがリスクであり、採掘や精製の大部分を中国が担っているため、政策や規制が市場に直接的な影響を及ぼすことがあります。
最近では、各国でリサイクルや代替技術、供給多様化の取り組みが進展しており、日本でも国内資源の開発やリサイクルの強化が注目を浴びています。
要約すると、レアアースは量よりも特定元素の安定供給が重要であり、技術革新とサプライチェーン(製品の原材料調達から生産、流通、販売を経て、最終的に消費者の手元に届くまでの一連の流れ全体を指す用語)の対策が今後の鍵となるでしょう。