ドラムセットの中で「タムタム」は、バスドラムとスネア、シンバルをつなぐ「メロディ的な役割」を担うパーツです。
ハイタム(高めの音)、ミッドタム(中域)、ロータム(低めの音)を組み合わせることで、フィルインやブレイクで曲に動きと表情をつけることができます。
タムタムの数や配置次第でフレーズの組み立て方が大きく変わるため、ドラムセットのキャラクターを決める重要な要素ともいえます。
タムタムの選び方でまず押さえたいのは「サイズ」です。
一般的なタムは8〜16インチ、フロアタムは14〜18インチが主流で、口径が大きいほど低く太い音、小さいほど高くタイトな音になります。
加えて、胴の深さ(浅胴・標準・深胴)もサスティーンや音の抜けに直結します。
ジャズやポップス寄りなら浅胴で立ち上がりが速くタイトなもの、ロックやメタル寄りなら深胴でパワー感や低音を重視したタムタムを基準にするとイメージに近づけやすいです。
セット内のバランスとしては、ハイタムは小径・浅胴、ロータムは大径・深胴という組み合わせが分かりやすい指標になります。
次に「シェル材(胴体の素材)」と「ヘッド構成」です。
ウッドシェル(メイプル、バーチなど)は温かく自然な響きが特徴で、多くのドラムセットの標準仕様になっており、メタルやアクリルなどのシェルは、よりアタックが明瞭で抜けの良い音になり、視覚的なインパクトも得やすいです。
ヘッドは、打面と裏面の両方にヘッドを張るダブルヘッド構成だとサスティーンが長く、音に広がりが出ます。
一方、裏ヘッドを外したシングルヘッドは立ち上がりが速く、余韻が短くタイトなサウンドになります。
曲調や自分の好み、叩く現場(ライブハウス、スタジオ、レコーディングなど)に合わせて、材質とヘッド構成を組み合わせて調整していくのがポイントです。
タムタムのマウント方法も、演奏性やセッティングのしやすさに影響する大事な選び方の要素です。
代表的なのは、バスドラムに直接マウントする方法、専用のタムホルダー、ラックシステム、シンバルスタンドやスネアスタンドを流用する方法などがあります。
・バスドラムマウント:セット全体の一体感が出やすく見た目もまとまりやすい反面、バスドラムの位置にタムの高さ・角度がある程度縛られます。
・スタンド/ラック設置:可動域と安定性が高く、ドラム タムタムの位置を細かく追い込めるのがメリット。ライブでの組み替えや持ち運びを考えると、セッティング再現性の高さも魅力です。
自分の叩き方(手の振り幅、セッティングの低め/高めの好み)と、ステージの広さや移動頻度を考慮して選ぶと、長く使いやすいセッティングに落ち着きます。
全体として、タムタムの選び方で優先してチェックしたいのは、「サイズ(口径と深さ)」「シェル材」「ヘッド構成」「マウント方法」の4点です。
ここを押さえておけば、ドラムセット全体のサウンドイメージを大きく外すことは少なくなります。
さらに、バスドラムとシェル材や深さを揃えると統一感のあるサウンドになり、あえて違う材を混ぜると各タムごとにキャラクターを分けることも可能です。
実際に選ぶ際は、まず自分がどんなジャンル・現場で叩くことが多いのかをはっきりさせましょう。
そのうえで、楽器店で12″×8″や13″×9″といった標準的なサイズのタムを試奏し、ピッチのつながりやフィルインの感触を確かめるのがおすすめです。
標準セットでイメージをつかんだあとに、「もう少し低音が欲しい」「もっとタイトにしたい」といった具体的な要望に合わせて、深胴モデルや特殊素材のタムタムを追加検討すると、失敗の少ないドラムセット作りができます。
タムタムは単なる“おまけのドラム”ではなく、曲の雰囲気を決める重要な声部です。
自分のプレイスタイルと目指すサウンドを意識しながら、サイズ・材質・ヘッド・マウント方法を総合的に見て選ぶことで、フィルイン一発の説得力や表現の幅が大きく変わってきます。